アミロイド症の治療とは
透析アミロイド症とは
人工透析が長く続くことによって発症する合併症が透析アミロイド症です。人工透析とは血液中の老廃物を取り除くものですが、除去しきれず体内に残ったたんぱく質が、アミロイドと呼ばれる繊維に変わり、関節の周辺の組織などに蓄積します。すると神経を圧迫して、ひどいしびれや痛みが続くようになります。
透析装置の進歩により、たんぱく質の除去機能は高まっていますが、高齢化で透析期間が長くなり、透析アミロイド症に悩む患者さんはさらに増えると予測されます。
透析患者の現状
現在、国内の透析患者数は30万人以上です。透析アミロイド症の症状は透析開始から10年で患者の2〜3割、20年を超えると半数以上に現れるとされています。長期透析患者さんの増加とともに、透析アミロイドーシスによる合併症が問題になってきています。
代表的な疾患
アミロイドが沈着する代表的なところを示します。手のひらの靭帯にたまると「手根管症候群」、指の根元では「ばね指」、肩では「肩関節症」を引き起こします。また、手の甲が痛む「手関節痛」、肘から小指にかけてしびれる「肘部管症候群」もアミロイドの沈着が原因の場合があります。
アミロイドが沈着しやすい場所
注目される内視鏡手術
透析患者さんの場合、血液を固まりにくくする薬を使っていたり、透析のためにシャントを作製しているため、手術で出血が起こりやすく、一般の整形外科では切開による手術を断られるケースもあります。内視鏡手術は術創が小さく、体の負担も少なく、傷が小さく出血も抑えることができます。また健康保険も適用されます。
透析によるアミロイドの沈着は、時間の経過とともに蓄積するため、症状が悪化することはあっても、自然に軽減することはありません。痛みを我慢せず、早めに治療を受けることをお勧めします。
- 内視鏡手術のメリット
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- 皮膚の切開は2cm程度なので、術後のキズが目立たない
- 術後の痛みがほとんどない
- 短時間で手術できる
- 出血量が少なく、透析治療に影響がない(翌日には透析ができる)
- 日常生活への影響が少ない